1月19日、NTTドコモは「Xperia 10 V Fun Edition」を発表した。スペックは従来モデルのままで、カラーはホワイトのみ。
購入特典として100GBのクラウドストレージ「Google One」が1年間無料。抽選で500名にSpotify半年無料などが用意されている。
突然の発表に喜ぶユーザーもいるだろう。しかし価格・スペック・仕様の観点でみると「Fun」とは言い難くソニーの迷走が垣間見えてくる。
スペックの割に高額すぎる
まず違和感を覚えるのはスペックに対する価格である。
Xperia 10 Vが搭載するチップ「Snapdragon 695 5G」は2021年製で「OPPO Reno 9A」や「AQUOS WISH2」等に搭載されている。
つまり1~2年前のミドルレンジ向けであり、2024年に本体価格79,860円では割高感が否めない。
とりわけ実質ハイエンドの「Pixel 7a」が5万円台の昨今、もはやXperiaは日本市場における競争力を完失っているのだ。
しかも年末の法改正によって一括1円販売も難しくなり、最悪のタイミングで出てきたと言っても過言ではない。
ドコモ仕様は本当に「ファン」なのか
もう1つの懸念材料がドコモ仕様であること。周知の通り、iPhoneとPixel以外はドコモの独自仕様がいまだに続けられている。
本体にはキャリアのロゴが刻印され、消去できない独自アプリで埋め尽くされ、SNSでは視認性の悪いiモード絵文字が優先される。
ソニーのXperiaが好きな人でも、ドコモ仕様まで好きとは限らない。何故SIMフリーを含めた複数キャリアでリリースしないのか。
もし仮にUIも含めて100%メーカー純正仕様であれば、他キャリアのXperiaユーザーが白ロムで購入してくれる可能性があるだろう。
しかしドコモ仕様で支配すれば、その価値は一気に損なわれてしまい1mmも「Fun」ではない。
撤退の足音が聞こえてくる
昨年、BALMUDAとFCNTが携帯電話事業の撤退を表明した。
両社に共通していたのは割高すぎる価格設定。最後は値下げしても需要がなく、一括1円でようやく在庫が無くなった。
その1円販売ができない今、これまで以上のペースで販売を拡大できるだろうか。「Fun Edition」にそれだけの魅力があるのか甚だ疑問である。
昨年、ソフトバンクが「Xperia 5 V」を発表しなかった経緯もあり、2024年はXperiaにとって正念場となりそうだ。
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