NTTドコモはFelicaスタートから20周年を記念して特設サイトを開設した。
2024年7月10日〜9月2日までの期間中、iD、Edy、QUICPay、nanaco、WAON、モバイルSuicaを使うと利用金額に応じてキャッシュバックが付与される。
日本の技術が20年間も繁栄しているのは誇らしいことで、これからもSuicaを筆頭に交通系ICカードは人々の暮らしを支えてくれるだろう。
しかし正直に書くと「20周年」というワードに違和感を覚えるのも事実。お祝いできる状態ではない下火の規格もあるからだ。
クレカ・QRコードの大躍進
Felica規格が危機を迎えているのは、PayPay等のQRコードとクレジットカードのタッチ決済が急速に台頭したことが挙げられる。
X(旧Twitter)でキャッシュレスに関するアンケートを調査したところ、2023年11月時点の利用状況は以下の通り。
クレジットカードとQRコード決済が70%以上を締めており、おサイフケータイのFelicaはクレジットカードにダブルスコアをつけられた。
最もこれは人気のSuicaを含んだ場合であり、交通系ICを除くともう少しFelicaの利用率は低くなる。関連する直近のアンケートがこちら。
今度はQRコードを除いた「タッチ決済」に焦点を当て、Suicaも選択肢から除外している。その結果、やはりクレジット決済がダントツで一位。
次いでQUICPay 21.1%、3位にiD 16.8%が続く。驚いたのはnanaco、Edy、waonであり、合算しても10.1%にしかならないのだ。
あくまで筆者が採集したデータではあるが、程度の差こそあれ「おサイフケータイ」が下火になっているのは間違いないだろう。
敗因①利便性より自社利益
では20年前に登場しながら何故クレジットカードやQRコードに敗北しているのか。ここからは筆者の考察を述べていきたい。
Felicaが下火になった大きな理由は企業がキャッシュレスの利便性よりも自社利益を優先しすぎたためである。
NTTドコモ以外の携帯電話ではiDが使えない、このお店ではQUICPayしか使えない。あのお店ではEdyが使えないと言ったことが長く続いた。
各企業が自社グループに有利な規格だけを採用した結果、おサイフケータイは「どこでも使える」決済手段になれなかったのである。
その結果、日本ではキャッシュレス機運が高まらず、後発のQRコードやクレジットのタッチ決済にシェアを取られてしまったのである。
敗因②高すぎるコスト
おサイフケータイは管理コスト面でも不利と言われている。例えば熊本県では交通系ICカードのシステム更新に12億円かかるという。
同県では路線バスや市電を持続させるため、交通系ICを廃止してクレジットカードに一本化予定。費用は約半分の6億円に抑えられるそうだ。
これは極端な例に見えるかもしれないが、少子高齢化や労働者不足による経費削減が進む日本において決して他人事ではない事案だろう。
20周年を迎えたのは素晴らしいことだが、輸出できなかった技術に未来はない。
首都圏では交通系ICこそ残りそうだが、それ以外の地域では30周年を迎えるのは難しいかもしれない。
リンク:NTTドコモ
コメント
felicaカードとおサイフケータイを区別して考えましょうね。
おサイフケータイでの発行枚数はかなり少ないと思う
おサイフケータイでのサービスは終わってもfelicaカードは続いている場合もある