総務省は、通信キャリアによる「ネットワーク利用制限」を原則禁止する方針を示した。
ネットワーク利用制限とは分割代金が未払いの携帯電話に対して実施される措置で、代金が払われるまで通話や通信ができなくなる。
いわゆるガラケー時代はこの方法が抜群の効果を持っており、支払わないと連絡手段が無くなってしまう程だった。
しかし中古スマホ市場が台頭すると、残債が残ったまま売却してしまう人が続出。それを買った人は前の所有者が未払いになった時点で利用できなくなる。
これが市場の活性化を阻害するとして国が問題視しており、いよいよ禁止に至ったわけだ。では、ネットワーク利用制限が禁止されるとどうなるのか。
今回は現時点でわかっていることと筆者の視点で解説したい。
中古スマホの不安要素が払拭
まず大きく変わるのは残債未払いのスマホを中古で買っても問題なく利用できること。
中古ショップでは、残債のある端末には「利用制限△」と表記されており、完済された商品よりも安いことがある。
△の商品を選んでも前の所有者が完済すれば何ら問題はないのだが、制限がかかったらショップ側は返金・交換に応じなければならない。
また消費者としても必需品であるスマホを一時的にでも交換したり、返品するのは大きな手間であり精神的負担になりやすかった。
ネットワーク利用制限が禁止になれば、消費者は端末の支払い状況を気にする必要がなくなり、未払いがあっても問題なく利用できるようになる。
盗難・不正購入品は制限あり
ただし例外として、盗難されたり不正に購入された場合はキャリアによる制限が認められるようだ。
日本経済新聞によれば端末の製造番号は全キャリアで共有され、他キャリアのSIMで運用する抜け穴も塞がれるという。
不正購入とは身分証明証を偽ったり、他人に成り済まして端末を購入するケースで、後から発覚した場合に発動する。
ただし海外に持ち出された場合はこの限りではないため、外国人労働者が帰国のタイミングで持ち逃げするケースも対策が課題として残りそうである。
分割審査が厳しくなる
このように、ネットワーク利用制限の禁止は少なからず中古スマホ市場の活性化に繋がるだろう。
ただし端末代金を回収できずに損するのは通信キャリア。これからは分割審査が今以上に厳しくなることが予想される。
昨今ではインフレの影響で10万円以上のスマホが増えており、iPhone等の人気機種は分割購入でも所有するのが難しくなるかもしれない。
また利用制限による端末代金の回収が難しくなれば、通信キャリアの販売方法や割引施策にも何らかのか影響があるだろう。
本人確認におけるマイナンバーカードの義務化に続き、2024年は携帯電話業界の転換点になりそうだ。
出典:日本経済新聞
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