総務省は高周波5G(ミリ波)対応スマートフォンの割引上限を44,000円から60,500円に緩和する方針を示した。
普及率50%に達するまでの条件付きだが「またスマホが買いやすくなる」と思った人も多いのではないだろうか。
確かに金額を見れば朗報だが、現状ではほぼ効果がなさそうと言わざるを得ない。
シェアの高いモデルは非対応
まず大前提として抑えておきたいのが、一番人気のiPhoneはいまだに米国モデルしかミリ波に対応していないこと。
日本では2020年以降、大手4キャリアが徐々にミリ波を展開してきたが、iPhone16でも日本市場向けには対応しなかった。
つまり現状、iPhoneは最新から型落ちまで60,500円割引とは無縁状態。来年のiPhone17に淡い期待を寄せるしかない。
ライバルのPixelは過去に7 Pro/8 Proでミリ波に対応したものの、最新のPixel 9 Pro/Pro XLでは一転して非対応。
2024年モデルは「Piexl 9 Pro Fold」しかミリ波に対応しておらず、60,500円の割引対象になりそうな端末があまりにも少ない。
総務省がミリ波普及を急いだところで、そもそも大手メーカーがあまり乗り気ではない現状もある。
そもそもミリ波対応は15万円以上・・・
では、他にどんな端末がミリ波に対応しているのだろう。
今年で言えば「Galaxy S24 Ultra」「Galaxy Z Fold6」「Galaxy Z Flip6」「Xperia 1 VI」といった軒並み15万円以上の端末が対応している。
逆に「Galaxy S24」「AQUOS R9」といった15万円以下はほぼ対応しておらず、もはや普通の人には無縁のものになりつつある。
日本市場でコスパを重視するXiaomi、OPPO、モトローラは対応しておらず、価格競争の側面から今後もミリ波採用には慎重な姿勢を見せることが予想される。
通信キャリアの価格も問題なのでは?
ところで、通信キャリアが本気でミリ波端末を普及させたいのかも不透明だ。
例えば上述の「Pixel 9 Pro Fold」はグーグル直販価格25万7,500円。この価格に6万500円割引を適用すると20万円を切ることになる。
高額に変わりないものの、だいぶ印象は変わってくるだろう。しかしソフトバンクの設定価格は30万円を超えており、割引をフル適用しても24万5,500円なのだ。
いくらメーカーの価格設定が自由とはいえ、この価格差をやりすぎと言わず何と形容できるだろう。これでは総務省がいくら割引額を緩和したところで普及には至らない。
割引上限が少ないとは言わないが、今回の案ではせいぜいレンタル価格が少し安くなるくらいに終始するのではないだろうか。
リンク:総務省
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