久しぶりにMVNO大手の「IIJ mio」を契約した。別記事でも触れるがSHARPの最新スマホ「AQUOS R9 pro」16万9,800円に惹かれて思い切ってしまった。
eSIMを選んだら即日開通できるらしく、手元の「iPhone15 Pro」に入れて開通してみることにした。
さて、困ったのがここから。すでに開通しているのにアプリには「契約中のプランが存在しません」と表示された。
すでにアンテナピクトも立っているし電話もできるのにおかしい。仕方なく構成プロファイルを直接iPhoneにダウンロード&インストールして無事に開通。
結局、時間差を置いたらアプリにも反映されたのだが、初期設定のハードルの高さを久しぶりに実感させられた。
これでは自宅でトラブルが起きた時、初心者では解決できないかもしれない。今回はiPhoneがMVNOに向かない理由を解説したい。
通信キャリアがAPN欄を塞いでいる
どうしてiPhoneはMVNOに不利なのか。その答えは通信キャリアがiPhoneのAPN(Access Point Name)欄を塞いでいることにある。
本来、アップルはiPhoneのAPN欄を開放しており、SIMカードを挿入すると自由に入力できるようになっている。
画像は楽天モバイルがまだiPhoneを正式販売する前のもので、アップル非公式キャリアだった頃はAPN欄が開放されていた。
この項目が自由なら冒頭に書いた①Wi-Fi接続、②MVNOアプリのインストール、③APN構成プロファイルのダウンロード、④APN構成プロファイルのインストール作業は不要。
こんなに幾つもの工程を踏まずとも、オフライン環境で一発接続できるのだ。
APN欄封鎖の弊害
APNが塞がれると他にも厄介な弊害を引き起こしてしまう。iOSには構成プロファイルが1個しかインストールできず、2つのMVNO SIMを同時利用できない。
せっかくのDual SIMなのに、2枚目にはAPN設定が不要な大手キャリア(サブブランド・格安プランを含む)を選ばざるを得ないのだ。
しかも構成プロファイルは2枚目のSIMに干渉を起こしやすく、海外旅行中に現地SIMカードを入れても動作しないケースも珍しくない。
基本的にMVNOはサポートがないため、こうしたトラブルシューティングはMVNO普及の観点から考慮しても不毛と言わざるを得ないだろう。
Androidは簡単に利用できる
これに対してAndroidはとても簡単にMVNOが利用できる。
最近はどのスマートフォンもMVNO各社のAPNが揃っており、SIMカードが届いたらほぼ挿入するだけで使えるようになった。
もちろんDual SIMでも干渉は起こらず、MVNOを2枚使い分けることも簡単。ここまでかという程にiPhoneとは仕組みが違う。
一昔前のキャリア端末は「au SIMが認識されない」とか「周波数が未対応」といった事例があり、MVNO利用は下調べが大変というデメリットがあった。
しかし現在のAndroidではこうした懸念事項がほぼ解決されており、本当に優しい環境が出来上がっている。
次の総務省の課題になる!?
こうした状況はどう考えてもMVNO事業者や消費者に不利だろう。改善される希望があるとすれば、総務省に問題視されることだ。
というのも通信キャリアが端末に加える制限は過去10年で次々と撤廃されており、ほぼすべて国の命令や法改正によるもの。例えば過去には以下のような制限があった。
テザリング制限:MVNO SIMカードを挿入するとテザリング機能が使えない
周波数制限:他社のSIMカードで電波が受信できないようアンテナを塞ぐ
MVNO制限:MVNOのSIMカードを読み込まないように制限
Dual SIM制限:本来備わっている2枚目のSIM(eSIM)スロットを撤廃
いずれもSNSを通して消費者の声が届いた格好であり、構成プロファイルの問題もMVNO普及の観点で問題だと思われれば改善に向かう可能性もあるだろう。
それまでは面倒すぎる設定やDual SIMに不利な状況とうまく付き合うことになりそうだ。
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