いよいよ筆者の手元にも「iPhone Air」がやってきた。今回、もっとも注目されるべきラインアップでありながら、本体価格は強気の15万9,800円〜。
それでいてカメラは2眼どころか単眼、さらにモノラルスピーカーを採用するなどプレミアム価格帯にあるまじき側面が指摘され、実はあまり人気がないとも言われている。

「薄くて軽いのはいいけれど、そこまでのお金を払って買うメリットはあるのか」と心配している方も多いだろう。
しかし実際に使ってみたところ、隠れたメリットを幾つも見出すことができた。他モデルとしっかり差別化され「買ってよかった」と思える仕上がりだ。
もちろん万人受けはしないだろう。そこで今回は数日使った筆者の視点から第一印象とこれまでに感じるデメリットをご紹介したい。
大迫力の6.5インチ。想像を超える臨場感
「iPhone Air」を手にして感じるのは、思ったよりも画面が大きいこと。「iPhone 17」「iPhone 17 Pro」と0.2インチ差なのだが、この僅差がひと回り大きなアイコンと表示領域を実現している。

縦・横ともに幅広く、WebブラウザやSNSのタイムラインは目に入ってくる情報力が全然違う。動画コンテンツやゲームも最高の環境だろう。

しかもこれだけの薄さと軽さ、さらに上位モデルと同じ「A19 Pro」チップ搭載であるから、エンターテイメント機としての手軽さはシリーズ最高峰と言える。

もちろん「iPhone17 Pro Max」を選べば大画面&ステレオスピーカーでより完璧に近い臨場感を味わえる。
しかしこれだけの画面サイズを片手で自由に操れることを考えてほしい。取り回しやすさでは「iPhone 17 Pro Max」を大きく上回っており、同じiPhoneなのにまるで別物。

この感覚こそが「iPhone Air」をえらぶ最大の理由とも言える。
スペック表のモノラルスピーカーに不安を覚える人もいるだろう。実際「iPhone15 Pro」と音質を比べると違いは一目瞭然である。しかし音質そのものは良好で、一昔前のチープなモノラル音質では決してない。
音楽関係の仕事をしているとか、普段から何種類ものヘッドフォンをレビューしている方には酷かもしれないが「意外といける」という人は多いはず。
シングルカメラにも強みがある
さて、酷評されているシングルカメラにも触れておこう。マクロ・広角・光学ズーム撮影ができず、カメラ体験が上位モデルに劣ることは間違いないだろう。

そもそもカメラを最も重視する方には向いていないのかもしれない。しかし、このシングルレンズにも大きなメリットがあった。
「iPhone Air」には標準レンズが採用されており、近距離の撮影では被写体に焦点が合いやすい。
というのも「Pro」シリーズには標準レンズがなく近距離撮影でとにかく焦点が合わないのだ。

この問題はマクロ撮影を使えば解決するが、今度は全体がフォーカスされて背景がボケない。仕方なく2倍、3倍ズームで乗り切った経験をお持ちの人もいるだろう。

「iPhone Air」はこうした難儀から解放され、背景をぼかしながら被写体を立体的に撮影可能。ブログやSNSに物撮りをよくUPする人には重宝するはずだ。
また動物や日常風景なども撮影してみたが、いずれも上位機種に遜色ない出来栄えである。(以下、作例)





日頃から50メートル以上離れた場所を撮影しない限り、意外と多くの人が満足できる完成度ではないだろうか。
意外と制限ばかりではない
もうひとつ実感したのが、意外と全方向にパワーアップしていることだ。「iPhone Air」は「あの機能がない、この機能がない」とネガティブな側面がクローズアップされてきた。

しかし細かくスペック表を見てみると120Hzリフレッシュレート、Bluetooth 6、Magsafe、Qi2規格20Wワイヤレス充電、18Mセルフィーカメラ等に対応。実際に多くの機能が制限された「iPhone 16e」とは訳が違う。

酷評されるバッテリー持続時間は「iPhone 16 Pro」と同じ最大27時間、Bluetooth規格やセルフィーカメラは16シリーズより画素数が高く、デュアルキャプチャ、超手ブレ補正ビデオといった新機能が追加されている。
つまりアウトカメラやスピーカーの制約はあるものの、プレミアム要素もふんだんに込められているのだ。しかも価格帯はあくまで「Pro」シリーズの一歩手前。上位機種と比べて足りない機能があるのは当然だろう。
信仰心が試される!参入障壁の高さ
最後にデメリットに触れながら、どんな人に向いているかを考えたい。
まずデメリットはズバリ本体価格。円安の影響もあるが、昨年で言えば「iPhone 16 Pro」が買えてしまう値段である。それでいてカメラはシングルなのだから、余計に割高感に悩まされるのも無理はない。

しかもアップルの初物というだけあって様子を見る人、安定の「iPhone 17 Pro」を選ぶ人、節約して「iPhone 17」に流れる人が続出する。
しかし裏を返せば参入障壁が高く、持っている人が少ないということだ。いつもよりドヤれる要素があるし、この超薄型ボディは触っていて本当に楽しい。
既存のiPhoneに飽きた人、刺激を味わいたい人は「Air」をぜひお勧めしたい。
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