中古スマホ市場が大きく変わりつつある。幾つもの要因が重なって、程度のいい安い中古スマホが手に入りにくくなってきた。
いまや商材不足のショップを支えるのはジャンク品と10年前のタブレット。その売り場面積は徐々に拡大しつつある。
ジャンク品とは破損、割れ、カメラ不良といった訳あり品で、基本的に動作保証がない。つまり安心して購入しにくい商品。
一体どうしてこうなってしまったのか。今回は長年、秋葉原を観察してきた筆者の視点で考察したい。
割引規制で中古品が激減した
中古品が激減した原因の1つが政府主導の「割引規制」である。以前は日本全国で一括1円が横行しておりiPhoneも例外ではなかった。
投げ売りされた商品の何割かは使わずに転売され、それが白ロム市場に流れてくる。中古ショップにはこうして商品が並ぶわけだ。
例えば上で紹介した一括10円のiPhoneは転売する人が多くて相場が59,980円まで下落。2022年当時、まだ1世代型落ちとしては破格である。
しかし2023年になると、総務省はいわゆる「投げ売り」への締め付けを強化。法改正が実施されて高額スマホの一括1円が難しくなった。
通信キャリアのキャンペーンは端末を返却スタイルで埋め尽くされ、いっそう中古品が出回らない仕組みになってしまったのだ。
空前絶後の円安で大幅値上げ
中古品が品薄になったもう1つの要因は円安だ。ドル円相場は2022年に1ドル110→150円まで上昇。
単純計算で11万円のスマホが15万円に値上げされる異常自体である。
ここまで値上がると正規価格でiPhoneを買いたくない人が続出。中古スマホの需要が伸びて供給が追いつかなくなってきた。
結果として在庫の枯渇が深刻化し、ジャンク品や10年前のタブレットといった商材に頼らざるを得なくなっている。
海外勢力の需要増
中古品が減っている理由、3つ目は海外勢力の需要である。
日本のiPhoneは世界で3番目に安いとも言われており、海外需要が絶え間なく続いている。
時には定価より高く買ってくれるため、日本の中古スマホ屋に流れず海外に出ていくのだ。
海外向けの買取ショップはSNS活動も盛んで、コロナ禍で一気に利用客が増えた。国内スマホの品薄に拍車をかける原因になっている。
このように中古スマホは「国主導の割引規制」「円安による中古需要拡大」「海外勢力需要増」により過去にない局面に立っている。
何か大きな出来事がない限り改善される兆しもみえず、しばらくは冬の時代が続きそうだ。
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