携帯電話の「ネットワーク利用制限」がいよいよ変わるかもしれない。総務省は1月29日、大手4社より実態を聞き取る方針を示した。
ネットワーク利用制限とは、分割購入したスマホの端末料金を払わないと発動される制限で、通話やデータが利用できなくなる。
料金の支払いを終えるとサービスが再開される仕組みで、SIMロック時代には料金回収のシステムとして役立っていた。
ところがスマホの登場と時代の変化により形骸化してきたのである。
中古スマホの流通阻害に
総務省が問題視しているのは、せっかく中古スマホを購入しても、前の持ち主が支払いを滞らせると利用制限かかってしまうこと。
制限のかかった端末は「赤ロム」と呼ばれ、多くの中古スマホ取扱い事業者は「赤ロム」永久保証を謳っている。
ただし返金までの時間、新しい端末を手配するまでに時間がかかるため、それが中古スマホの不安要素となっていると総務省は指摘しているわけだ。
中古スマホ市場の拡大を促すには、ネットワーク利用制限の見直し時期が来たのかもしれない。
利用制限は抜け穴だらけ
またSIMロック時代に有効だったネットワーク利用制限は、SIMフリー時代になって形骸化していると言わざるを得ない。
例えばDual SIM端末に制限がかけられる場合、1枚目のSIMカードは使えなくなるが、2枚目のSIMスロットなら利用可能。
現状、Dual SIMはnano SIM+eSIM構成のため、物理SIMからeSIMに変更すれば制限を回避できてしまうのだ(KDDI以外)。
また、購入先のキャリアで制限がかかっても、MNPで他社に乗り換えれば制限を避けることはできる。
例えばドコモで購入したiPhoneをau、ソフトバンク、楽天モバイル回線で使えば利用制限を回避できてしまうのだ。
このように、SIMフリーとDual SIM端末が普及したことで、1キャリアが端末を完全に制限することはできなくなった。
キャリアの端末販売自体が時代遅れ
日本ではメーカーと通信キャリアの結びつきが未だに強く、ネットワーク利用制限はその証左と言えるだろう。
総務省がこの制度を見直すのは個人的に賛成であるが、同時にキャリア専用モデルも禁止できないものだろうか。
彼らは総務省から指導を受けない限り、いつまでも何かしらの制限を導入してくる。
SIMフリーなのに自社SIM以外を使えなくしたり、MVNO SIMでのテザリングを制限したり、他社のアンテナを潰すなど多岐にわたる。
こうした制限を逐一見直すより、キャリアの独自仕様を禁止した方が中古スマホの発展に繋がるのではないだろうか。
出典:読売新聞
コメント