昨年からどうもアップル製品の様子がおかしい。中古でも高値で売れることで知られるiPhone、iPad、MacBookが以前ほどのリセールバリューを持たなくなってきたのだ。
そう感じるようになったのは、現行モデルが何度も値下げされていること。例えば昨年5月に購入したM3 MacBook Air(SSD 256GB/メモリ16GB)は当時19万9,000円。これが半年後には16万4,800円に値下げされた。
しかしAmazonでは年明けのセールで15万8,000円に値下げ。そして1月30日、なんとタイムセールで14万4,800円まで下がったのである。
30万円以上のMacBook Proが処分特価になることはもはや通例だが、主力モデルが何度も値下げされるのは異例。購入から1年未満だが、今売却したら購入時の半分ではないだろうか。
iPadに関しても第10世代モデルが昨年9月に1万円値下げされ、58,800円〜買えるようになった。しかし直後からAmazonセールが相次ぎ、年明けには50,303円を記録。わずか4ヶ月で18,000円も下がったのである。
いずれもAmazonを通した一時的なセール価格ではあるが、10年前に同じことがあっただろうか。おそらく、現行モデルがここまで値下げされた例はかなり少ないはずだ。
こうしたことが続くと毎年少しのお金を足して買い換えるのが難しくなるし、リセールを考慮せずに商品を選ぶならWindows PCやAndroidを検討する人も出てくるだろう。
高いリセールを狙うなら発売直後に買うのが正解だったが、これからは安くなるまで待つのが正解になるかもしれない。
なぜ売れにくくなったのか
正直なところ、原因はしっかり調査しないとわからない。2022年以降の強烈な円安・インフレで消費者が買いにくくなったことも少なからず関係あるだろう。
また昨今ではOS更新の5年サポートが標準になり、昔と比べて買い替えサイクルが鈍化したことも影響しているかもしれない。
その上で指摘したいのが中国メーカーの猛追である。例えばAndroidタブレットはXiaomiやOPPOの勢いが著しく、iPadよりも断然安い値段で上等なものが揃う。
製品によっては純正キーボードやペンなども揃い、もはや余程のことがない限りiPadにこだわる必要がなくなってきたのだ。
スマートフォンの分野ではXiaomi、OPPO、モトローラの他、ZTEが「nubia」ブランドで攻勢を強めており、アップルの牙城を崩しにかかる。
かつて見向きもされなかった中国勢力が防水やFelicaに対応したことで急速に台頭したのも、アップル製品の値下げに拍車をかけているのではないだろうか。
ラインアップを増やしすぎた
そしてもう一つ指摘したいのが「ラインアップとカラバリの増やしすぎ問題」だ。現在、iPadは6種類もあり、ほとんどが4色展開。これは一見素晴らしいが、特定のモデルに需要が集中すれば他の在庫が余りやすいリスクを孕んでいる。
iPhoneはもっとヤバイ。毎年4種類がラインアップされるのに、型落ちモデル(15、14、SE)を含めると合計7種類も販売されている。
値下げされた14、15に需要が集まれば16シリーズは打撃を被るだろうし、噂されるSE4が発売されると既存モデル全体が大打撃を受けかねない。
こうしたラインアップの増加はAirPodsにも及んでおり、魅力が理解されないままの製品も少なくないのではないだろうか。
このようにリセール価格の下落には様々な要因が考えられる。そして今後も頻繁にセールが繰り返されるなら即買いせず少し待ったり、通信キャリアの返却プログラムを積極活用するなど今までと違ったアプローチが必要かもしれない。
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